水風呂のチラーとは?
水風呂の「チラー」とは、ひと言でいうなら、「水を冷却するための装置」です。
冷媒を利用して水を効率的に冷やし、設定温度を維持する役割をもちます。
サウナ施設では、水風呂の温度を快適に保つためにチラーが使用されており、冷却された水を循環させることで利用者に快適なリフレッシュ環境を提供しているのです。
水風呂のチラーの仕組み
チラーの基本的な仕組みは、冷媒を利用して水を冷却することにあります。
冷媒は、圧縮機によって圧縮され高温・高圧のガス状になります。その後、冷却されて液体状態に戻り、エバポレーター(蒸発器)を通過する際に再び気化し、この気化過程で周囲の熱を奪います。この原理を利用して、水を効率的に冷却するのです。
具体的には、水風呂内の水がポンプによってチラーへ送られ、冷却された後に再び水風呂に戻ります。この循環システムにより、水風呂の温度を一定に保つことができるのです。
また、温度センサーや自動制御システムが搭載されているため、設定温度を維持しながら、エネルギー効率も高くなっています。
チラーの利用によって、水風呂の温度が適切に管理され、いつ入ってもキンキンに冷えている水風呂を実現しているのです。
サウナにおけるチラー付き水風呂の魅力
体感温度が実際の水温より低く感じる
水風呂にチラーがあると、実際の水温より冷たく感じます。
その理由は、チラーが水温を一定に保つことで水の冷たさが均一になるからです。
これは、効率的な冷却機能により、肌が接触する水のすべての部分が同じ低温になっているためです。
また、冷たい水が循環することで、常に新しい冷水が肌に当たり続け、温まった水が滞留せずに流されるため、冷たさが持続します。これにより、体感温度が実際の水温よりも冷たく感じるのです。
長く入っていても冷たさに慣れない
一定時間、水風呂に入っていると徐々に冷たさに慣れてきますよね。
これは、体の適応メカニズムが働くためです。最初の冷刺激で血管が収縮し、冷たさを強く感じますが、時間が経つと体が慣れ、血流が安定します。また、皮膚の感覚受容体が順応し、冷たさへの感覚が鈍くなることも慣れにつながります。
一方チラーがあれば、新しい冷水が発生し続けるので、ずっと「冷たさ」を感じることができます。
しっかりと体を冷やしたいサウナーからすれば、チラーは重宝すべき装置といえますね。
よく冷えるので整いやすくなる
サウナで「整う」ためには、体をよく冷やすことが大切です。
そもそも整うには、自律神経のバランスを整えることが重要です。サウナで体を十分に温めることで交感神経が活発になります。その後、水風呂で急激に体温を下げることで副交感神経が優位になり、リラックス状態に移行します。この交代を繰り返すことで自律神経がリセットされ、心身のリフレッシュ効果が高まります。
これが整いの正体です。
つまり、チラー付きの水風呂に入っていれば、常に冷たい水に触れることで効率良く体を冷やせるので、整いやすくなるというわけです。
温浴施設などの水風呂はサウナ好きが好んで利用しているのをよく目にしますよね。 サウナやお風呂に浸かり、火照った体をクールダウンさせる用途として水風呂を利用すると、健康増進効果が期待できるとも言われています。 では、「水風呂」だけ[…]
水風呂のチラーの価格は?
ここでは、実際に販売されている水風呂のチラーを価格とセットで紹介します。
業務用のチラー
まず、業務用のチラーです。
※以下の情報は2024年9月時点のものです。
製品名 | メーカー | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|
ZC-1300α | ゼンスイ株式会社 | 326,000円 | ・高性能二重構造交換機を採用しており、省エネ・静音性を実現 ・水温監視アラート機能搭載 ・オーバータイム機能搭載で連続運転のトラブル回避 |
小型水槽付チラー RKS-Jシリーズ | オリオン機械株式会社 | 417,000円~ | ・運転スイッチを押すだけのシンプル設計 ・大口径の給水口なので清掃が簡単 ・冷媒回路の保証期間は2年 |
これらはあくまで一例です。また業務用のチラーなので個人での購入自体ができない場合もあります。
家庭用のチラー
続いて個人がプライベートでも使用できるチラーを紹介します。
製品名 | メーカー | 価格 | 特徴 |
---|---|---|---|
Pack Cryo Control ”JP-R3” | CRYO CONTROL | 1,430,000円 | ・0.1℃単位で自分の好きな温度設定が可能 ・10℃以下のシングルにも対応可能 ・コンパクトかつシンプルな設計で設置・撤去・移動が簡単 |
屋内用 循環式 大型チラー ZRC-400B | ゼンスイ | 207,900円 | ・初期費用を抑えたい方におすすめ ・ ケーシングレス構造で冷却効率UP! ・ 淡水/海水で使用可能 |
ZRW-1500 | ゼンスイ | 692,780円 | ・ クーラー本体を屋外に設置することで 排熱や稼動音が気にならない ・従来の屋外型クーラーに比べ薄型設計の26.5cm ・淡水/海水で使用可 |
家庭用のチラーとはいえ、それなりの値段ですね。
チラーだけでなく、五右衛門風呂とセット販売されているものなどもあります。持ち出して使用したいという方は検討してみましょう。
水風呂のチラーは下記から比較できます!
自宅の水風呂を冷やす方法
家庭用チラーを購入する
家庭用チラーの購入は本格的な冷却効果を求める方におすすめです。
チラーは水風呂の温度を自動で調整してくれるため、サウナ施設のような安定した水温管理を実現できます。
10℃〜20℃まで冷やせるモデルもあり、サウナで「ととのう」ための冷たい水風呂を再現できるでしょう。
しかし、チラーの導入には初期費用がかかり、価格は前章で紹介した通り、数万円から十数万円と高額になることが一般的です。
また、設置やメンテナンスの手間がかかることもチラーのデメリットであり、集合住宅などでは使用できない場合もあるでしょう。
とはいえ、冷却効果はほかの方法に比べて圧倒的です。
氷や保冷剤を投入する
もっと手軽に冷却をしたい方におすすめなのが、氷や保冷剤を直接水風呂に入れる方法です。氷や保冷剤さえあればすぐに試すことができ、特別な機器も必要ありません。
しかし、冷たさは一時的なものに過ぎず、冷えた水温をキープできません。何セットか行うのであれば、氷や保冷剤を大量に用意しておくとよいでしょう。
サウナから出たあとに氷や保冷剤を入れてもすぐには冷えていかないので、サウナに入る前に入れておくと、ちょうど一番冷たいタイミングで水風呂を楽しめるはずですよ!
水シャワーを浴びながら浸かる
水シャワーを浴びながら水風呂に浸かるのは、いちばんシンプルな冷却法です。
ポイントは「浴槽に入りながら水シャワーを浴びる」こと。」
ただ水風呂に入っているときと比べて、冷たさを長く感じることができます。これは、水風呂に入ることで体の表面にできる温度境界層の膜(通称:羽衣)がシャワーによって常に破壊され続けるため、冷水が直接皮膚に触れ続け、冷たさに慣れにくくなるからです。
ただし、家庭用シャワーの水温がそこまで冷たくない場合や、真夏の気温が高い時期には、十分な冷えを感じられないこともあります。
とはいえ、浴槽さえあれば誰でも手軽かつすぐに試せる方法であるため、自宅でのちょっとした温冷交代浴の際には、十分かもしれませんね。
水風呂のチラーはサウナーの味方!
いつも何気なく水風呂に入っている方にも、チラーがいかに重要な役割を果たしているかお分かりいただけたでしょう。
チラーがなく、水が浴槽に張っているだけではサウナーの熱で、水温はどんどん上がってしまいます。
我々がキンキンの水風呂に入り、最高のととのい体験ができるのもチラーのおかげなのです。
また、水風呂は施設によって温度や深さ、バイブラの有無などさまざまです。ぜひ、いろいろな水風呂に入ってお気に入りを見つけてくださいね。